+今日のおしゃべり+
第三回 「旦那の考えが分からない」
T
「本日のゲストは、アレイアさんです。」
ソウジ
「女の人! 女の――」
レイジ
「殴るぞ?」
ソウジ
「ひっでぇ!」
T
「コホン……アレイアさんは、前回のカイトさんの、奥さんになります」
アレイア
「そうなんです! うちの旦那がお世話になりました!」
ソウジ「」
レイジ「残念だったな」
アレイア
「うどん作るの、さすがに疲れちゃった……。 でも――」
T
「どうかしましたか?」
アレイア
「あ、すみません。 私はアレイア、料理研究家で」
「カイトとは、看護師の時に出会いました」
T
「ほぉほぉ」
アレイア
「私の父が職人だったので、最初のころは、カイトが何を考えているのか、大体把握できたんです」
「私は父と母のような、無言でも分かり合える関係に憧れてました」
「でも、実際結婚してみると……。 急に、何を考えてるのか分からなくなってしまって」
ソウジ
「勇気を出して、直接話す!」
アレイア
「それが最もだとは思うのだけれど……。 やっぱり、ポリシーに反する? っていうのかしら」
レイジ
「ポリシー?」
アレイア
「憧れを実現するには、って考えちゃう。 私の努力が足りないのかなって」
T
「ふむふむ。 聞いたほうが早いと思っていても、お母さまのようにありたいんですね」
アレイア
「うーん……。 確かにそう。 だけどどっちかというと、聞くのが面倒くさいかも」
レイジ
「面倒くさい、とは?」
アレイア
「今は、何を考えてるか分からない状況でしょう? だから、質問したことに対して、何を言われるか分からなくて怖い」
T
「なるほど」
ソウジ
「でも、質問されないと、自分の彼女が何に不安なのかも分からないっすよ?」
アレイア
「え……?」
ソウジ
「いや、スイマセン。 俺なら、ハッキリ言ってほしいかなって。 分からないって」
レイジ
「ほう、それはどうしてだ?」
ソウジ
「いやー……。 男の俺から、女の子のプライベートな不安とか……。 聞きづらいよ?」
T
「おぉ、そういうこともあるよね」
ソウジ
「今はこうやって話してくれてるからいいけど、旦那さんとあの後どうなりました? って聞いたら、なんか下心あるみたいだし」
「やっぱり女性への声かけは、慎重な気持ちになるっていうか……。 セクハラとかあるし」
レイジ
「開口一番、女の子! なお前の存在がセクハラだと思うが」
ソウジ
「ヤメテ」
「と、とにかく……。 男は、相手に不愉快な思いをさせたくない時は、黙るのが一番だと思ってる」
「自分が軽いとか思われてるの分かってるから、誤解されたくなくて、喧嘩とかした時には何も言いたくは――」
アレイア
「!!」
「そう、それ!」
レイジ
「どうしました?」
アレイア
「誤解されたくないから、質問したくないの!」
「何を言われるのが怖いかじゃなくて、誤解されるのが怖かったの!」
T
「お、おー……。 自分で切り開きましたね」
アレイア
「ありがとう! ソウジ君! 大好き!!」
ソウジ&レイジ
「!?」
(完・つづく)
2019年10月16日水曜日
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